腕時計・電池交換レポート

平成25年2月24日(日)
by 店長(二級時計修理技能士 青木勝雄)
当店の電池交換は通常1200円頂いています。(リチウム電池は1500円)ただ、巷(ちまた)ではもっと安価なお値段で
電池交換を実施されているところもあるようです。(ホームセンターなど)
 しかし当店は1200円の価値がある電池交換を行っている自負がございます。
そこで、実際「電池交換」時に「何を見て何をしているのか」実況させていただきます。
「いらっしゃいませ」
お客様がご来店されました。通常お客様は
「時計止まっちゃったんだけど」とか「電池交換
お願いします」とか発声されます。
「拝見します」
時計を受け取ります。この時、まず「電池で動いている時計」かを判断し
ソーラータイプ・自動巻きタイプはその旨お知らせします。
 そして
ア・時計が動いているか?イ・止まっているか?ウ・動いているけど時間が合っていないのか。
以上の3点を瞬時に確認し次に

竜頭は引かれていないか?外観に目立つ傷は無いか
?水は入っていないか(ガラスが曇っていないか)そしてメーカーはどこか?防水時計か?
などを確認します。
 最近「ソーラー」の時計が多く、この種類の時計が止まっている場合は、基本的に修理が必要です
裏蓋はずし器1
ア・時計が動いていて時間も合っている時

 実は結構多いです。この場合「まだ動いていますがよろしいですか?」と一声おかけします。お客様が時計が止まっている、または時間が狂っているのを発見し、ご自分で一度時間を合わせたら動き出したという状況が考えられます。
また、「そろそろ電池が終わるころだから」とお客様が一手先を読んでご来店されるときもあります。
裏蓋はずし器2
ウ・時計が動いているけど時間は合っていない時

 これはあまり多くありません。電池が本当に終了間際で電圧が降下している場合(2秒運針など)と、機械の不具合により止まったり動いたりしている状況も考えられます。
シチズンの使い捨てタイプの時計の裏蓋を開けたところ
イ・止まっている時

 お店に持ち込まれる時計の85%から90%はこの状態です。こちらも安心して?次の作業に移ることが出来ます。
セイコーの使い捨てタイプの時計の裏蓋を開けたところ
電池交換作業開始

ケースに付着している土などのごみを真鍮ブラシで丁寧に取り除いてから裏蓋を開けます。

この時、20気圧防水・200m防水の時計は「当店では防水の保証ができない」旨
をお伝えし、メーカーに送るかどうかお客様にお尋ねします。
 また、裏蓋の構造上、電池交換に時間がかかるタイプはその旨お伝えします。

耐磁ピンセットとマイナスドライバー
時計の内部観察

電池を取り出す前に、時計内部の状況を把握します。(水気・ゴミ・汚れ具合)
この時店長が「ごみの侵入が多いですね」と発言した時計の80%は、電池が原因で止まっているわけではなかったり、また電池交換をしても数日後に止まり「分解掃除が必要です」という状況になることが非常に多いです。店長の勘はかなり当たります。
汚れがひどい時計内部・電池も錆が付いている
こぼれ話1

1年間に数個「竜頭を引いてあるだけ」の時計を発見します。腕時計は竜頭を引いて針回し状態にすると時計が止まります。
 この場合は電池の電圧を測って、1.5V
あるようですと「電池はまだありますがどうなさいますか?」とお客様と相談になります。
ゴミを吹き飛ばすブロワー
腕時計電池いろいろ
電池の電圧をテスターで測定し、使用していた電池の電圧が低下しているかを確認し、低下が確認できたら同じタイプの電池に交換します。

前回当店で電池交換されている時計は、電池が何年もったかがわかるので、1年以内で電池が再び終わってしまった時計については「分解掃除が必要」な旨お伝えします。

 また、防水の時計で(日常生活用防水を含む)防水パッキンが不良のものはその旨お客様にお伝えします。
 経験的に他所で電池交換された時計は、パッキンがきちんと装着されていないものが散見されます。それで水が入らなかったのは単に「運が良かった」というものです。
裏蓋を閉め、カレンダー付きの時計は日付を合わせ現在時刻に針を合わせてお返しします。(秒までは合せておりません)

 この時計ははたして電池交換だけで大丈夫なのかを短時間に見極め、お客さまにお伝えするのが時計修理技能士の務めと思って仕事にあたっています。
まとめ

 この一連の作業に通常2分ほどかかります。近年「防水の時計なのでうちではできません」と断られるお店も増えたようです。(お客様談)とりあえず当店で電池交換できるものは即日でいたしますので、一度お見せ下さい。