式クラッチの改造について




 以前にお話したとおり、最近のホンダの原付車のクラッチ周りは今までの方式とは違う方式
でドライブフェイスとトルクカムの開閉が行われています。私がスペアエンジンとしている規制後
ライブDio−Sのエンジンもこの新式クラッチを採用している機種です。
 問題はまだアフタ−パ−ツ市場に「強化クラッチ」などが出ていない点です。これについて今後
の展開も含めて研究していきたいと思います。



個人的な利点および欠点

利点・・・
 新式クラッチの利点は「軽量」、コレにつきます。ドリブンフェイスとトルクカムの素材がが旧
方式の鉄製からアルミ製に変更されております。それとクラッチのシュ−の枚数が3枚から2枚
へ減らされており、センタ-スプリングを組み立てたコンポ−ネント状態で400gの軽量化になり
ます。
 それと、センタ-スプリングのシ−ト部にワッシャ−が追加されており、ドリブン&Tカムの開閉
時(両者がねじれることで開閉します)にこの「ねじれ」の力が及ばないように改善されている感
じです。

欠点・・・
 正直、今のところフィ−リングでしたら旧式のクラッチ方式の方がいいです。変速終期に場合に
よって変速がずれるのか、クラッチが瞬間滑ったようになることがあります。また、クラッチの分解が
非常に面倒なこと。今までのようにナット一個でとめているのではなく、大きなCリング+ドリブンと
クラッチベ−スのスプラインで叩き入れた状態になっています。Cリングを外して、プラハンでドリブ
ンフェイス部を叩いてクラッチをバラす感じで、ベアリングの交換に近い作業を要します。
 それと、アフタ−パ−ツが世の中に出ていない点。これはこれから次第ですが。


センタースプリングの相違点



 なお、センタ−スプリングは旧式クラッチに使われていたスプリングより自由長が若干
短く、スプリングの内周径は逆に若干大きいスプリングが使われています。この旧式クラッ
チのセンタースプリングは流用不可能です(Tカムの軸と接触してスプリングがある時点から
縮まなくなる)。


トルクカムについて・・・





 旧方式でライブDioの「変速終了時の回転の落ち込み」をなくすために一世を風靡し
た(笑)、ジョルノクレアのトルクカム(ココの文中参照)が新式クラッチにも受け継がれ
ています。デザイン的に新式クラッチもライブDio用(23220−GCH−010)よりもジョル
ノクレア用(23220−GEE−710)のほうがトルクカムの山のデザインを直線状にし
て(上写真黄色丸部)、旧方式と同じようにキックダウンしやすい形にしてあります。が、
正直いって旧方式の様に谷が完全に消えるようにはならなく、ジョルノクレアのTカムに
しても若干谷(約速度50km程度で200rpmほど回転のドロップあり)が残ります。レス
ポンスの多少の良化は見れますが・・・。



2枚シュ−と3枚シュ−との違い・・・

 今現在で分かっている新式クラッチ搭載車は、
●99以降のライブDio
●99年以降のジョルノクレア
●クレアスク−ピ−、スマ−トDio系、ズ−マ−、バイトのクリ−ン4EG(AF54、55E)搭載車種
●機種旧Dioの派生機種のDioFit
●現行リ−ド50
 です(これ以外にご存知の方教えていただきたいです)。

新式クラッチでも実はクラッチシュ−が2枚タイプと3枚タイプがあります。
3枚タイプがDioFit及び現行リ−ド50です。。
 重量的には2枚シュ−だとシュ−1枚が160gの2つですから約320g、3枚でライブZXのシュ−
を使うと130gx3ですから390gです。が、規制前素ライブDioです一枚90gですから3つで270g、
重量の問題は逆に2枚シュ−より50g軽くなってしまいます。



現状で分かっていること


●リ−ド50&DioFit
センタ−スプリング(リ−ド50のみ。DioFitはライブと一緒)のバネレートは謎(^^;)。ライブのスプリ
ングと比べてみたら殆ど変わらない感じです。
シュ−が唯一3枚シュ−タイプを採用。クラッチインは約3500rpmらしい。

●ジョルノクレアおよびスマ−ト4軍団
クラッチスプリングがミ−ト回転約3000rpm
センタ−スプリングは新式クラッチ系で最弱?手センサー(笑)での計測ではかなり柔らかいです。
シュ−は2枚。

●規制後ライブDio
クラッチスプリングはミ−ト回転数約4000rpm
センタ−スプリングがジョルノクレア&スマ−ト4軍団のより硬い(10%ぐらい?)。
シュ−は2枚。
ちょうどDioFitとジョルノクレア系のクラッチコンポ−ネントの中間のような組み合わせ。



クラッチ周りの改造・・・
 これを踏まえて、組み合わせによって出来る強化とは・・・
旧式のクラッチ同様の手法でセンタ−スプリングの強化、3枚クラッチ方式にして
クラッチスプリングの強化、ジョルノクレアのトルクカム装着にするの3つですね。
 トルクカムに関しては先ほど記載しましたので残りの二つを・・・。



クラッチスプリング&センタ−スプリングの強化

右:ライブDio規制後の新式クラッチ。左:ジョルノクレア。クラッチスプリングが違います

 現行のジョルノクレア&スマ−トDio、ズ−マ−などのスマ−ト4シリ−ズエンジン搭載
機種は、センタ−スプリング及びクラッチスプリングが一番やわらかいものが使用されて
います。これを踏まえて、スマート4エンジンの車体に関しては・・・

「クラッチスプリングを規制後ライブDioのクラッチスプリングに交換することでクラッチインの
回転数を1000rpm上げる(3000rpmを4000rpmに)。また、センタ-スプリングも同じく
規制後ライブDioのスプリングに交換することでレ−トをあげる(5〜10%UP?)。」

ってことが可能です。ただし、クラッチスプリングはともかく、センタ-スプリングを上げても逆
に今のノーマルスマ−ト4エンジンの能力では(約5馬力)最高速が落ちるかもしれません。



2枚クラッチを3枚クラッチにする

左:DioFitのクラッチプレ−トを使用して旧式ライブDioZXのクラッチ&スプリングを新式クラッチに装着です。

 規制後ライブDioの場合の強化となると・・・まずDioFitのクラッチプレ−トを使用して3枚
クラッチに交換してしまいましょう。これが何を意味するかと言いますと、「強化スプリングを
社外のライブDioZX用を使用することができる」です。
 また・・・多分ですが、3枚クラッチにすることによりエンジンの出力が大パワ-になっても
クラッチイン時の滑りが少なくすることが出来るのでは・・・と。でも、ヤマハはあのパワ−で
も2枚クラッチなんですよね(^^;)。。

 現状で私、上の様に2枚から3枚シュ−に変更し、デイトナのウイナ−スプリングを装着し
てクラッチインを4700rpmぐらいにしてあります。これとジョルノクレア用Tカム&ドリブン(ジョ
ルノクレアはライブZXと同じベルトを使用している)でほぼ旧方式のクラッチと同じようなフィ−
リングになってきました。



 現在一番のネックになっているのがセンタースプリングです。上記の様にクラッチは3枚+強化
スプリングで旧式クラッチと同程度の改造が施せます。トルクカムも旧式クラッチと同じジョルノク
レアのカムを使用する手法によって「変速の落ち込み」も解消方向に持っていけます。
 が、センタースプリングに関しては今のところ他機種、他メーカーで流用できそうなのを探して
みましたがいまのところ見つけられません。ネックにるのが内径の大きさ。各メーカーのスプリング
のかなでもこれだけ内径の大きなスプリングはなさそうです。
 ただし、今後ズーマーやバイトなど、AF55系EGのボアアップ手法が開発されてボアアップKITの
発売、なんてことになりましたら駆動系もあるていどの開発が必要になるわけで・・・新式クラッチ用
の社外強化センタースプリングの発売を期待!というトコロですね。


 これからも軽量なアルミ新式クラッチを流用できるように考えて今後も研究していきたいとおもい
ます。もともと軽量なクラッチですので、うまく煮詰めていけば武器になるハズだと考えています
が・・・これから次第、というところが現在です。



20030505