Gダッシュとはこんなスクーター







「Gダッシュ」とは?
日本がバブル絶頂期に向かう1989年、本田技研がに世に送り出した50ccのスクーターです。
命名の由来は「加速度を表す単位:G」と短距離走の「ダッシュ」を用いて名づけられたそうです。
命名からあらわすとおりこのGダッシュというスクーター、スクーターらしからぬ徹底的な
「走りの追求」を求めて作られた車体です。





スクーターといえば「日常生活の足」。当然積載力も求められますがこのGダッシュ、
純正状態では何も積めません(^^;)。今のスクーターでは常識のメットイン機能は
おろか、フロントポケットやリアのキャリアなどもありません(純正アクセサリーで
ネット状のフロントポケット、リアキャリアなどは売っていましたが)。





その分車体設計と足回りは10余年経った今で十分通用する設計です。
ライブにくらべ10cm短い全長に13kgも軽い車体。さらにボディデザインは
サイドカバー〜アンダーカバー部はグランドフォース確保とエンジンの冷却を両方考えられて
作った形状などは非メットインならではの作りです。

足回りは今のライブにもつながる油圧の「HDサス」。基本設計はライブの金サスと
一緒ですが乗り味はライブとは違って「乗り心地を捨てた」かなり固めの感触。
太めのインナーチューブと軽量なボトムケースは徹底的にレーシーです。
さらにすごいのはブレーキキャリパーの重量を考慮して左右で減衰力がちがう設計です。
Fブレーキはライブと同じ160mmながらマスタ径が1/2インチとブレーキフィーリング
重視な味付けを施してあります(ちなみにライブは11mm)。





エンジンはライブの一世代前の「AF18E」エンジン。俗にいう「縦Dio」のエンジンです。
Dioの前の世代のDJ1−RRから始まり、
初代AF18Dio〜AF25DioSR〜AF27スーパーDio〜AF28SR、ZXと活躍
していたエンジンです。Gダッシュのノーマルパワーは6.8馬力。しかし
ライブのエンジンと違いエンジンの回りっぷりはこちらのエンジンの方が格段に上です。

日本のアフターマーケットパーツ市場では下火になりつつありますが、
最近では台湾&欧州パーツが入手しやすくなった事、特に台湾市場では
このAF18Eエンジンパーツが未だ主流ということでまだまだいじりがいの
あるエンジンです。やる気になれば排気量はライブを簡単にしのぐ100ccオーバー仕様
までイケます。





この当時のバイクやクルマというのは日本の経済状況も良好で結構ドコのメーカーも
「八方美人じゃないある意味尖がった」モノ作りをしてたと思っています。
クルマやバイクが世の中に出るのってメーカーが「売れるためにつくるクルマ」
と「作りたいからつくったクルマ」に分かれるのかな、と。
ちょうど先程書いたようにバブルな時代でメーカーも体力があったし
市場もそういうクルマやバイクを受け入れる状態にありましたよね。
このGダッシュもスクーターなのに使い勝手を無視した車体作り(笑)。おかげで生産終了は
翌年の1990年12月、となんと2年を持たずしてラインナップから消えてしまいました。

例えばクルマではトヨタの「セラ」やホンダの「ビート」、スズキの「カプチーノ」や
マツダの「AZ−1」など短命ながら魅力のある・・・どちらかといえば売れることよりも作りたくて
作ったクルマやバイク、今のご時世、「平均点主義」でしかクルマやバイクを作れない現在
にあってバブル期前後の時代に世に出された「とんがったクルマ、バイク」に
注目が集まるのもなんとなく納得・・・って気がします。





注:このコンテンツ内の画像は1989年発売当時のカタログからです。
サムネイルにしてありますのでご希望のかたはさらにじっくり見てください(笑)。
但し・・・重いですよ。800x600ピクセルのサイズです。
ブロードバンドの方に限られるでしょう(^^;)。

カタログもバブル期ならではの両見開き全6ページ。
現在のバイクのカタログは4ページですから(^^;)。