このページは、『柔のり』をお使いいただいている皆様から寄せられた質問に、開発者自身が直接お答えしたQ&A集です
Q 希釈割合は、添付されている表の通りでないといけないのですか?
A 表は参考であり、使う方の熟練度や作業速度により違いが現れます。
さらに、湿度や塗布量によっても乾きや仕上がりに微妙な差が現れます。
材質や厚みによっても加減が必要です。このように、条件により多少の差がありますので、やや濃い目から慣れていただき、
次第に条件に一番あう塗布量と濃さをお決めください。(名人と言われる人も、始めは手探りで始めました。それぞれの工夫が第一です。)
Q 裏打ちしたものに、浮きや剥がれが現れることがあります。何が原因ですか?
A いくつか考えられます。
@糊の濃さと塗布量は適切ですか?一般に紙が厚くなるほど接着は悪くなります。
A糊盆に出した糊は良く空練りをしましたか?水を加える前に空練りすることにより糊が活性化し、接着力が強くなります。
また、水との馴染みも良くなります。
B一度本紙に下ろした裏打ち紙を剥がして何度も置きなおしをしますと、糊の皮膜が壊れ部分的に本紙との密着度が悪くなることが
考えられます。できるだけ一発で裏打てるよう工夫してください。
C裏打ち後、直ちに大きく反らすように持ち上げたり、部分的に引っ張ったりすると、糊の粘りを抑えてあるため層間剥離を起すことがあります。
必ず敷き紙の上で裏打ちをおこない、移動は敷き紙のまま行います。
軽く敷き干しをしてから仮貼りに貼りこみます。
Q 『柔のり』は裂にたいしてシミを出さないと聞いていましたがシミの出ることがあります。これはなぜですか?
A @裂地に縮みをしっかりいれましたか?裂の種類によってはワラビ粉糊を相当量含んでいるものがあります。
縮み入れの際、粉をすすぎ出せばシミは出ません。
A裂地の湿りは均等に入っていますか?
湿りに斑が有ったり多すぎると、糊の成分のエマルジョンが表に抜けることがあります。
B糊を薄めていませんか?
裂地の肌裏は、原液を十分空練りしてほとんど原液のまま紙の方に塗布してください。
Q 『柔のり』で仕上げたものは、黄変しないというのは本当ですか?
A 本当です。
『柔のり』は従来の化学糊のような紫外線に反応する成分を含んでいないため、糊焼けといわれる現象はおきません。
Q保存にはどんな注意が必要ですか?
A 常温(20℃±15℃)で十分保存できます。しかし、5℃以下や40℃を越える温度に長時間さらされると変質することが
あります。
また、別の容器に移し替えて保存されると、雑菌が入ることも考えられます。
使いかけの糊は元の容器に戻さず、できるだけ早くお使いいただきますようお願いいたします。
Q 開封しない『柔のり』は、どのくらい保存できますか?
A 上記のとおり、常温であれば長期間の保存ができます。
通常、製造法上の保障期間は半年ですが、私の試験ストックの状態から見て4年以上は変質せずに保存できます。
しかし、最小限の防腐剤添加で皆様にお使いいただきたいという趣旨で、防腐剤は極少量の添加に抑えてあります。
出来るだけ早くお使いいただきますよう、お願い致します。
Q 刷毛や糊盆など道具類はすぐ洗うようにしていますが、しだいにビニールのような被膜が付いてきました。落とす方法はありますか?
A 『柔のり』は他の化学糊と比較して、道具類の手入れが楽に出来ます。それは主成分が水に溶けやすいメチルセルロースを
使っているからです。しかし、補強材として粒子の非常に細かいエマルジョンを使っているため、洗い流しても微量が道具類
に付着しています。これが長い間にビニールのような膜になり、ペタペタ粘る感触を呈するようになります。
洗浄には市販の「刷毛クリーナー」が効果的です。表具材料店でお求めになれます。
Q 『柔のり』と他の化学糊との明らかな違いはどこにありますか?
A @糊の皮膜性が良く、温度や湿度差の激しい部屋でも安定した掛かり具合の掛軸を仕立てることができます。
A皮膜の劣化が遅いため、巻物につきものの折れの発生がありません。
B糊が原因となる変色やシミの発生が無く、紙や裂の持つオリジナルな風合を維持します。
C剥がしが容易に出来るため、仕立て直しが可能です。
D水に良く溶けるため、刷毛や道具類の洗浄が容易です。
しかし、長期間水に浸けたままであったり、乾燥させると落ちにくくなりますので、出来るだけ速く洗うよう心がけてください。
E糊の構造として、分子が細かいほど粘りがあり、繊維に浸透しやすい性質がありますが、『柔のり』は分子が大きく、皮膜が
繊維の一部を包み込むかたちで接着します。そのため、柔らかく形状安定性の良い裏打ちが可能です。
Q 化学糊にはホルマリンが添加されていると聞きましたが、『柔のり』にも入っていますか?
A ご指摘の通り、極微量ですが添加されています。この糊は「業務用」として開発しており、プロの方々に安定した品質でご利用いただけるよう、過酷な流通系統にも耐えられるよう造られています。
糊を練る段階でやや刺激を感じる方がおられるようですが、間もなく気にならなくなります。水で希釈する場合はぬるま湯(40℃以下)を使われると、早く臭いが消えます。仕立てられた製品に残留することは殆どありません。
極稀に、過敏な方がおられるのも事実です。そのような方は残念ですがご使用を中止して、天然の正麩糊をお使いください。
『柔のり』は皆様のご意見を取り入れながら、より優れた糊を目指して成長しております。
これからも皆様のご愛顧を宜しくお願い申し上げます。
Q 『柔のり』のホルマリンは無添加になる予定はありますか?
A 皆様から要望の高かったホルマリン無添加化が、平成19年3月製造の物から可能となり、順次皆様にお使いいただけることになりました。
使用方法は従来と全く同じです。過敏の方にも安心してお使いいただけます。
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お求めは、全国有名表具材料店または鞄結桴シ屋までお問い合わせください