さくら曜日(第6話原案書)2002/08/02
第6話
午後5時1分前。
「ごめんごめん待ったぁ?」
一夏は昨日、未来たちと待ち合わせをした場所まで汗をかきながら走ってやってきました。
「だいじょぶ、だいじょぶぴったしだよ」
未来はニコニコ笑顔で答える。
「はぁはぁ…。」
「一夏ちゃん走ってきたの?」
友美が心配そうに聞いてきた。
「はぁはぁ、だいじょぶ、だいじょぶ」
「一夏ちゃんはこういうときは必ず走ってくるからなぁ。
もうちょっと早めに家出たほうが良いかもね」
未来があきれたように言いました。
「ふぅ。今度から気をつけますぅ」
「分かればよろしい」
「未来ちゃんが言うのもへんかもね」
友美がボソッと言いました。
「何でぇ?」
「だって一夏ちゃんが来る前に未来ちゃんも走ってきたじゃない」
「あぁ〜それ言わないでぇ〜」
未来が言うと3人同時に笑い出しました。
三人はお祭り会場の商店街に着きました。
「じゃぁどこ行こうかぁ?」
未来が二人に問いかけた。
「じゃぁ大阪焼き食べに行こうよ」
友美が大阪焼きの屋台を指差した。
「友美ちゃん甘いものも好きだけど大阪焼きも好きだもんね。」
未来がニコニコ言いました。
「じゃぁ、じゃんじゃん食べに行きますか?」
「うん♪」
三人は屋台に行き1個ずつ頼んで受け取り近くにあったベンチに座りました。
「お・い・し・い・ねぇ〜」
「友美ちゃんは本当においしそうに食べるよね。」
一夏は友美の顔を見ながら言いました。
「だっておいしいんだもん♪」
満面の笑顔で言う友美の姿を見ると一夏たちはとてもうれしく感じました。
その時未来はふと目の前の本屋さんへ目をやりました。
「あっ、あれ優一君じゃない?」
「えっ!」
「あ!本当だぁ〜。」
未来は一夏の顔を見て言いました。
「優一君の所へ行ってらっしゃい♪」
「えっ、でもでも…。」
一夏は真っ赤な顔をして困り始めました。
それは行って優一と話がしたい。
夏休みが始まってからぜんぜん会っていなかったのだから。
でも未来たちのことを思うと…。
「いってらっしゃいよ、会・い・た・い・んでしょ。」
友美が右の手の小指を立てて振りながら言いました。
「そう言うときは小指じゃなくて親指でしょ」
未来が笑いながら言った。
「うんもう、ばかにしないでよねぇ」
一夏はいっそう顔を赤く染めて困っている。
「ごめん、ごめん行ってきなよ」
「私たちのことは気にしなくて良いからね」
二人はにこにこしながら一夏の背中を押しました。
「未来ちゃん、友美ちゃんありがとね」
「うんうん、じゃあまた電話するね」
「バイバイ〜」
一夏は二人のもとを離れました。
『二人とも本当にありがとね…。』
一夏は優一がいた本屋さんに入ってきました。
「こんばんは優一君!」
「あっ一夏ちゃんどうしたの?」
優一はびっくりしながら後ろを振り向きました。
「何の本見てたの?」
一夏は優一の見ている本に目をやりました。
「あぁこれ?う〜ん本当は内緒にしようと思ってたんだけど…。」
優一は一夏に本を差し出しました。
「一夏ちゃん明日誕生日だろ?プレゼント何にしようかと思って。」
優一は顔を赤く染めながらいいました。
「誕生日覚えててくれたの?」
「一応ね。でもプレゼントなかなか決められなくて…。
一夏ちゃん絵を描くのが好きだろう?だからイラスト集なんか良いんじゃないかと
思って。でも僕って女の子がどんな絵を描くのか分からなくてこれしか選べなかったぁ」
そう言って一夏の前にかわいい動物のイラスト集が差し出されました。
「これ私に選んでくれたの?」
「うん、でもまだお金払ってないけどね」
優一は苦笑いをしながら言いました。
「これでいい?プレゼント」
「うん!あ・り・が・と・ね」
一夏はそう言いながら優一に抱きつきました。
「おいおい大げさすぎだぞ」
優一は真っ赤な顔になってしまいました。
「ごめんごめん。ふふふ…」
優一はレジへ行き本を包装紙でラッピングしてもらいました。
「あっ、ついでにこれも…。」
そしてお店の外で待っていた一夏のところへ行きました。
「一日早いけどはい!誕生日プレゼント」
優一は一夏に本を渡しました。
「ありがとう、優一君」
「それから…ちょっと後ろむいて」
「こう?」
優一はポケットから何かを取り出し一夏の髪の毛にしばりました。
「あっ、新しいりぼん…。」
優一が一夏の髪の毛につけたのは赤いリボンでした。
「これが本当の内緒のプレゼント
これ付けてたほうがもっとかわいくなると思うよ。
だって今日は付けていなかったみたいだから…」
「あ…ありがとうきっと大事にするね」
一夏の目にうっすら涙が浮かびました。
「新しいりぼん嫌い?」
「う〜んう〜ん違うのうれし涙かなぁ」
一夏はハンカチで涙を拭きながら答えました。
『大好き優一君。ほんとにありがとう…』
「じゃあお祭り行くか。一夏ちゃんもいっしょに行くでしょ?」
「うん!じゃ金魚すくい行こう」
二人は金魚すくいをしにお祭りの中に入って行きました。
一夏のりぼんのついた髪の毛が風でさらさらとゆれました…。
〜第7話へつづく〜