「第2、2回目」

「私はこれからバイトだから行って来るね」
彼女はいつの間にか仕度を終え出かけていってしまった。
普段はファーストフード店でバイトをしている彼女。
いつもバイトの合間に創作活動をしている。
もちろん俺も普段はビルの清掃員。
合間に創作活動をしている。
売れない作家同士いつか物書きで食べれるようになりたいと思っている。
それも今の俺は彼女に追い越されるのではないかといつも
そわそわしているのだ。
「俺もバイトの時間まで少しでも進めるか・・・」
俺は誰も居なくなった部屋でポツリとつぶやいた。
そしてその日は夕方帰宅した彼女と入れ替わりに深夜のバイトに行った。

ある休日の日珍しく彼女も俺もバイトが休みで彼女と肩を並べて
PCに向かっていた時彼女がぽつりとつぶやいた。
「最近のラノベって友達同士とか初めて出会った同士でも
口論する作品が
多いじゃない。それってやっぱり心の中でみんなあんなふうに
話せたら良いと思っているのかな?」
「たぶんみんな心の中ではあんなふうに喋りたいと言う
気持ちはあるのじゃない?
ああいう風に物を言いやる事が出来るって言う事は
本当に仲良くなったと言う証拠だから、
今の世の中ああいう風に口げんかすることも少ないしね」
「じゃあ。あるアニメで悪役が言ってる事が正しく
思えてしまうって事ある?」
「う〜ん。子供のころはあまり感じなかったけどなぜか
心に響くって事があるよね。
たとえば悪役の言う世の中暗い世界が良いのだって言っていると
実際現実の自分と重ね合わせると悪役の言っている事もなぜか
正しいと感じてしまうんだよね」

そんな話をしながらジュースを飲む彼女。
「私たちもいつかみんなに感動してもらえて共感してもらえる
小説書けたらいいね」
「そうだな」
その時ふと見た彼女の笑顔が素敵で惚れ直してしまう。
「物語ってみんなを笑顔にさせたり色んなことを考える機会を与えたり
みんなの気持ちを豊かにするアイテムだと思うの
だから私は色んな物語を書きたい・・・。
そしてみんなを笑顔にするんだぁ」

そんな事をいう彼女は俺の大好きなアニメのキャラとかぶるのだ。
もしかして二次元から自分のために出てきてくれたのかも知れない。
そんな事思う俺は少し変なのかも知れない。


(2012山中ぶどう)