2000年3月17日 第一回口頭弁論報告

 
 戸籍続柄差別裁判原告 福喜多昇

 2000年3月17日、いよいよ戸籍続柄裁判が始まりました。狭い法廷にも関わらず、多くの方の傍聴、ありがとうございました。席の後ろにもびっしりと立っている人がいて、熱気むんむんの開廷となりました。

 原告意見陳述、訴状要約説明

 最初に、原告の田中さんが、意見陳述を行いました。続いて、弁護士の榊原富士子さんが、訴状の内容を簡潔にわかりやすく説明しました。

 答弁書陳述

 数日前に送られてきた被告の答弁書(voice108号に掲載)では、こちらの訴えに対して門前払いを求める記述はなく、内容について争うというものでした。国や行政相手の裁判では、訴え出た内容について議論を闘わせる以前に、裁判で争うことができるものかどうかが先ず問われることが多く、これが裁判を極めて狭き門にしています。
  今回、被告側は、「訴え自体が不適当なものとして却下せよ」とは主張せず、「訴えの内容を争って棄却せよ」と求めています。つまり、戸籍の記載の適法性を争う姿勢を見せていました。

 認否と求釈明をめぐってやりとり

 しかし、当日のやりとりの中で、被告代理人は、門前払いを求める場合もあり得るという発言をしてきました。
  訴状で国連の人権機関が日本政府に対して婚外子差別の撤廃を勧告していることを引用して、こちらの主張を行ったところ、答弁書ではまとめて「争う」とのみ回答しています。「争う」とは、法律の解釈等について異なる見解を主張して論争すると言うことで、勧告がなされた事実があったかどうかは、認めるか、否認するか、不知(知らない)と答えるかのいずれかになるはずです。

  そこで、弁護士の林陽子さんが勧告がなされたという事実も争うのかどうか確認を求めたところ、差別記載の撤廃というこちらの主張が、本人の続柄欄の記載の抹消を求めるものかどうかと言う求釈明への回答を先に欲しいと言ってきました。こちらの回答を待って判断し、その内容によっては「本案前の主張を行う」と述べたのです。「本案前の主張」とは、戸籍の続柄記載方法が適法か否か(本案)を争う前に、続柄差別記載撤廃の訴えが、裁判で争うことのできるものかどうかを判断したいということのようです。

  揚げ足を取られないように回答し、是非とも中身の議論に入りたいと思います。