2002年3月8日 第十回口頭弁論報告


 原告 田中須美子

 今回は、たくさんの方の傍聴がありました。大法廷なのでという呼び掛けを読み、何とかたくさん誘っていかなければと、職場の同僚の方数人と一緒に来てくれたり、アルバイト料払うからと息子さんに声をかけてくれた方、インターネットで見てという方等。おかげで新しい人がたくさん来てくれました。半ば恫喝調で息子さんを誘い、断られてしまった方もいました。今回はいろいろな方が自分の子どもを傍聴に誘ってくれていました。奇しくも?娘にも福喜多さんが誘ったのですが断られてしまいました。唯一代理人の吉岡さんの娘さんが来てくれました。

 裁判終了後の報告交流会では、アメリカから英語の講師として中学校に来ている方も傍聴してくれていたのですが、自己紹介の中で出た、結婚するとアメリカでは改姓されるのかどうかを巡って、しばし英語でのやり取りと、その通訳があり、いつもと違った交流会の風景でした。

 条約違反への国側反論について3点の口頭質問を行う

 私たちからは、原告としての 「意見陳述書」 (2000年3月に法廷の場で読み上げたもの)と「陳述書」(続柄記載の損害性について新しくまとめたもの)を書証として提出・陳述しました。国側は、続柄記載は条約違反、という前回私たちが提出した主張に対する反論を、準備書面(6)として提出・陳述しました。この反論は、前回に裁判所から提出を強く求められたため、国側は、必要ないと思いながらやむなく書いたものです。

 国の反論内容は、
  (1)条約の内容は憲法と同じ趣旨の規定である。
  (2)委員会の一般的意見や勧告には法的拘束力はない。
  (3)委員会には有権解釈を行う権限を与えられていない。
というもので、その理由の展開は全くなされていません。これが反論かという情けないものです。

 このため、国への反論は文書で次回に行うことにしましたが、とりあえず法廷の場で次の3点を口頭で国側に質問しました。
  (1)条約が自動執行性をもつかどうかに言及していないが、自動執行性をもつことは認めるのか。
  (2)ウィーン条約法条約で条約の解釈を規定しているが、この規定をどう捉えているのか。
  (3)勧告に法的拘束力はないと述べているが、条約の締約国として勧告を尊重しなければならないと考えているか。

 これらの質問に対し国側は、関係する省庁と打ち合わせる必要があるので、今この場で答えることはできない、といつもの姿勢から一変し慎重な答え方をしました。結局裁判所の指示により、3月末までに国側に文書で急釈明することになり、反論は次回までに行うことになりました。

 次回からは合議制での裁判になりました

 この裁判が始まってからこれまで、裁判官一人の単独審理でした。司法記者の方からは「どうしてですかね、この裁判は単独審理で行う裁判じゃないんですがね」とよく言われていました。それが次回6月4日からは、3人の裁判官による合議体での裁判となります。

 どのような裁判官の構成になるのか、現在の外山裁判官はそのままなのかなど全く分かりませんが、これまでと同じように人間的な裁判官であることを願っています。

*被告側準備書面(6)は交流会通信voice126号に掲載されています。