2002年10月1日 第13回口頭弁論報告


<都民の日だったため、子どもたちがたくさんきてくれました>

  前回7月16日の口頭弁論の時も台風が来ていて、裁判開始直前になって台風がそれたのですが、今回はまたも台風にぶつかり、しかも夕方から東京を直撃するという天気の中で裁判が開かれました。この日は都民の日で学校が休みのため、ぜひともこども連れで傍聴をとの呼び掛けに応え、乳母車で生後6か月の赤ちゃんを連れてきてくれた方や兄弟二人を連れて参加された方(つかれ果てていましたが)など子ども連れで傍聴にきてくれた方が何人もいました。その内の一人の人が裁判報告交流会で、「この子が、あの佐渡の夏合宿の時におなかの中にいた子です」と子どもを紹介してくれたのですが、あれからもう11年になるのだと感慨深いものがありました。
  また裁判傍聴は初めてという妊娠7か月の方もパートナーの方と一緒に参加してくれました。 子どもたちがたくさんいたため、法廷は雰囲気がいつもと違って何となくほんわかした感じでした。前回は大学のゼミ生の人たちで傍聴席がいっぱいになり、今回は子どもたちのおかげで傍聴席がいっぱいになりました。お母さんと子どもたちそして傍聴してくださったたくさんの方々、台風の中をありがとうございました。
  
<国側の主張する「戸籍の目的としての一覧性」とは何かにつき、国側は書面提出を求められる>

  これまで国側は続柄区別記載の目的・必要性について、「正確かつ一覧性をもって明らかにするという戸籍制度の目的に適う手段」であるとして「嫡出・非嫡出」の区別について合理的な根拠を持っていると主張してきました。
  私たちは今回準備書面(10)で、このような国側の主張をこれまでに提出した書証の中から、戦後の戸籍改革の担当者、戸籍の研究者、実務家等の見解を踏まえて、徹底して論破し尽くしました。
  このためこの「一覧性」の主張では勝てないと思ったのか、今回提出した国側準備書面(8)では、この主張は消し去り、『戸籍制度の目的を「正確かつ明瞭に」登録し公証すること』と変えてきました。 裁判長は『今回は「一覧性」についての主張はされていないようだが、どのような意味で「一覧性」という言葉を使っているかを聞きたかった』と、国側に「一覧性」についての主張を補充書として出すよう求めました。国側は、最初の内今回提出した書面の通りと文書提出を拒んでいましたが、最後は提出を承諾しました。 

<5人の証人を申請−採否は次回以降>

  前回の口頭弁論で裁判長から総括的書面を提出するように求められたため、最終準備書面という最終局面ではないにしても早めに証人申請書を出しておいた方が無難との考えから、今回5人の方の証人尋問の申請書を提出しました(学者の方、元戸籍係職員の方、司法書士の方、婚外子の方、原告の計5人です)。すると裁判長はまずは陳述書を書いてもらってくださいという対応でした。
  最近はどの法廷でも証人申請をすると、必ず陳述書を提出するようにと言われてしまいます。時間をかけて陳述書を書いてもらい提出すると、もうこれでいいでしょうと証人尋問の申請は却下されてしまい、証人尋問は行われません。
  裁判所にとって、陳述書はただ読むだけなので時間をとられませんが、証人尋問となればそのために時間が何時間もとられてしまいます。裁判は2年で終結させるという政府の「裁判の迅速化」の方針の下に、このような事態が生まれているのだと思います。しかしこのように口を開けば「陳述書を」ということは、支援のために証人になるのを決意してくれた方へのプレッシャ−にもなり、また、証言をとおしてこちら側の求める疑問に応えてもらい、事実を明らかにしていくことが奪われてしまいます。
  このため申請した5人の証人尋問の採用をぜひ求めていきたいと思います。