2001年12月14日 第九回口頭弁論報告


 原告 田中須美子

 2001年もあっという間に終わり、もう2002年となりました。
  昨年の12月の第9回口頭弁論で条約違反の主張を展開した準備書面を提出しました。
  記載が国際人権規約や子どもの権利条約、そして女性差別撤廃条約に違反しているということを、さまざまな判決やマンフレッド・ノバックの著書を引用しながら主張しました。今後もさらに国際条約について、主張していきたいと考えています。
  日本の裁判所において、国際条約が裁判規範として定着していない状況の中で、それを食いやぶって、この裁判で正面から問題にし、判決に反映させていきたいものです。

 今年は、条約とともに、戸籍の続柄差別記載の不必要性を、戸籍制度や戸籍を取り巻くさまざまな実務や生活の場から証明し、人権の視点からもはや時代遅れと主張していきたいと思います。また、多くの方からの陳述書の提出にも引き続き取り組んでいきたいと思います。今年もこの戸籍続柄裁判への御支援、そして傍聴などどうぞよろしくお願いいたします。

 条約違反への反論をまとめることを、国側やむなく受諾
  − 口頭弁論ではなく争点整理の期日を入れるよう国側要求 −

  10月3日の口頭弁論 で、裁判所が国側に憲法と条約の関係でまとめるよう促すと、国側は必要とあれば主張すると切って捨てるような答え方をし、12月14日の口頭弁論を迎えました。
  そしてこの日、裁判所から条約違反への主張について訪ねられると、国側は私たちの主張する条約違反に対し、「現時点において反論の必要はないと考えている」と述べたのです。しかし、「裁判所は必要と考えているので、反論を次回までに提出するように、反論は個別具体的にするように」と裁判所は国側に促し、国側も受諾せざるを得なくなりました。
  その上で裁判所は「このことについては、調書にとらせてもらいます」と断固とした調子で言い切りました。これまでは原告、被告双方から調書に残すことを要求し、記載されてきたのですが、前回からの経過があるためか、裁判所のこのような姿勢になったのではないかと思います。
  最後に突然、国側は、「お互いの主張が噛み合っていないので、争点整理の期日を入れて下さい」と裁判所に要求しました。前回は、原告側は訴訟物を明らかにしない、不誠実だといって、裁判所に弁論の終結を国側は要求しました。しかし裁判所に聞いておきますとかわされたため、今回は新たに口頭弁論を開かずに密室で、裁判長と被告・原告の三者でやりたいと言い出したのではないかと思われます。
  確かにお互いの主張は平行線ですが、争点としては噛み合っていないわけではありません。裁判所から、被告側このように言っているが、原告側はどう考えますかと尋ねられたため、「争点整理はやぶさかではないが、公開の法廷での審理を続行してほしい」と原告側は応えました。
  最後に次回期日が3ヶ月先の3月8日に決まりかけた際、これについても、国側代理人は、もっと前に入れてほしいと講議しました。すると裁判所の都合で3月でないと無理なのです、と裁判所は講議を退けました。
  (この日陳述した文書は、原告側は条約違反の主張を展開した準備書面(7)、被告側は差別記載をやめよという中野区に対する原告側訴えの、答弁書です。これらの書類はVoice2002年1月号に掲載されています)

 12月14日(金)という師走の忙しい時期だったためもあり、傍聴は25、6人位と少なかったのですが、それでもせめて裁判だけはと言って膨張し、交流会に少し出て急いで帰る方が何人もいました。学者の澤田省三さんも、東京に講議で来てたまたま時間がとれたのでと、交流会に参加されました。どうもありがとうございました。