2001年6月29日 第7回口頭弁論報告


 原告 福喜多昇

 今回も大法廷で、空席が目立ちました。原告の方で希望すれば、空いている限り大法廷を使えそうな感じです。
 今回原告からの書面は、地方分権一括法によって、戸籍事務が、これまでの国の委任事務(市町村に判断権限はなく、国が決めた通りに事務処理のみを行う事務)から、法廷受託義務となったため、それに伴う訴状変更を行っただけです(原告準備書面4)。今回は主に被告(国、中野区)側の書面陳述です。こちらからは、みなさんから寄せていただいた陳述書を証拠として提出しました。陳述書は今後も提出していきたいと思いますので、よろしくお願いします(書き方はこちらをご覧下さい)。

国側代理人変更、訴状に対し求釈明
 さて、今回から、国側の代理人が変わり(これまでと同じく、最初に名を連ねているのは女性です)、こちらに何点か釈明するよう求めてきました(国側準備書面3)。求釈明は、論議をかみ合わせるために、不明な点あるいはあいまいな事を明確にするよう求めるものです。通常、前回あるいは前々回程度に出された相手方の文書に対して行うことが多いものです。
  ところが、今回は、訴状、すなわちもう2年近くも前に出した文書に対してのものでした。その内容も、重箱の隅をつつくような、微に入り際に渡るものです。これはひょっとすると変な人が来たのではないかと思っていたところ、法廷でも、原告側に対して敵対的な感情をむき出しにするような人でした。これまでの相手側代理人は、官僚特有の無表情で、冷酷に事務処理するというタイプで、それはそれで「嫌な人」ではありましたが、今度の人は、個人的にも「婚外子差別を維持しなくてはならない」との使命感を持っているようにすら感じられました。

訴えの追加(的変更)を拒む論陣
 訴状への求釈明にも増して、国側代理人の執念を感じさせたのは、準備書面(4)での論陣です。実は、訴状ではこちら側にミスがあって、記載の変更を求める相手を中野区長(と国)としたのですが、今回は民事訴訟なので、区長ではなくて区を訴えなければならなかったのです(行政訴訟であれば、区長になる)。そこで前回(第6回)の口頭弁論で、中野区を被告に追加する文書を出したのですが、その際中野区長を被告から外すことはしませんでした(voice4月号参照)。
  国は、訴えの変更が出きるのは、裁判所と当事者が同一である場合に限られるから、「中野区の被告への追加は、認められない」と主張してきました。
  さらに、中野区に記載の変更を求めるのは民事訴訟だが、中野区長に求めるのは行政訴訟になり、行政訴訟と民事訴訟は併合できないことになっているから、訴えは不適法であり認められないと言ってきています。

強引な国側の主張
  しかし、前者に関しては、訴状では、記載の変更と同時に、損害賠償請求も行っており、そこにはもともと中野区が被告となっていますので、従来の訴えと同じ被告を相手として同じ裁判所に追加したことになります。したがって、この点に関しては、国の主張に明らかに無理があります。
  後者については、区長を被告とする記載変更の訴えは、確かにこちらのミスです。しかし「これを行政訴訟とは積極的には主張しない」との被告の言質もとっています。したがって、区長に対する記載変更の訴えのみは民事訴訟として不適法であるとして却下し、後の部分を判断すればよいのであって、訴えを追加させないとするのはやはり、無理があるように思います。ただ、もともとこちらのミスでもあるので、この部分は取り下げることも検討しています。

*原告側及び国側準備書面は、交流会通信voiceに掲載されています。