<集会に参加して>
制度や取り扱いが変わることで、人は自由になれる                        
八木 奈穂  

集会に初めて参加させていただきました。各地からの参加者とお話することができました。交流会は、とてもホッとできる場であると、福岡の先輩から聞いて いたのですが、その感じがとてもよくわかりました。ここでは、自分がOKであるという安心感をとてもとても強く感じることができました。  
私の一人娘は、1994年生まれで、現在15歳です。彼女を産むときに、婚姻届を出さずに産むことに、私は、何のためらいもありませんでした。ただ、と りまく制度やまわりの人たちの常識やら世間体やらが、私の身体や思いとは、まったく合わないということはよくわかっていました。ひとりで戸籍制度の本など を読みました。  
けれども出生届を自分で出しに行く際には、「嫡出子・嫡出でない子」を空欄にする力はありませんでした。出産前に知らない土地へ引っ越しし、産後の疲れ た身体で、これ以上他のプレッシャーに耐えられるとは、自分で思えなかったからです。その欄に自分でチェックを入れることは、まるで自分が出産した子は、世間的に正しくないのだということを確認しなければいけないような気にさせられました。むろん、これは、制度がまちがっているので、書類上のことにすぎな いと頭でわかっていても、とてもつらい気持ちにさせられました。  

福岡で子どもを産んで、1年くらいしてから、「婚外子差別をなくし戸籍制度を考える会」(ここの会)と連絡がとれるようになりました。ここの会で戸籍制 度についての勉強会や集まりに出席して、だんだんと今の戸籍制度が私たちの生活に合わない、戸籍で縛られたくないという思いを強くし、ひとりひとりが尊重 されるような個人登録の形になることが、女性も男性もその中間の人も自由に生きることができる社会になるのだと確信を持つようになりました。  
3月14日の集会で、これまでの交流会の粘り強い働きかけを、出席した皆さんとともに振り返ることができて、改めて「すごいな」以上の言葉が浮かびませ んでした。私にはできなかったことを、壁があるから、それを乗り越える、またはなくすために、当たり前のこととして動かれてきたことに対して、本当にあり がたいという思いでいっぱいです。福島瑞穂さんの講演で、この運動を大切にされ、原点を忘れないようにされていることがよくわかりました。政治家にとって 大事な点をはずさないその心意気に、心からのエールを送りたいと思います。  
そして「法務省、出生届『嫡出』欄未記載でも受理」という5月5日のニュースに、一歩前進、さらにその欄をなくすことを強く求めたいと思っています。制 度や取り扱いが変わることで、人が悲しまずに、自由になれるのだという思いを強くしました。                      
(Voice2010, 3−5月号より)