2003年9月9日 原告・証人尋問 報告


 田中須美子

 −「母の人生を肯定したいと思った」と島崎さん証言−

  戸籍続柄裁判のハイライト!と言ってもよい9月9日の原告尋問・証人尋問でした。これまで、初めて傍聴された方は毎回の口頭弁論について、訳が分からないままあっという間に終わってしまい、驚きの感想を皆さんもたれていました。しかし今回は、テレビでみるような『The 裁判』が目の前に展開されました。
  傍聴席は満席で、何人もの方が廊下で待機していました。また報道関係からは朝日新聞、東京新聞、日経新聞、産経新聞の記者の方たちが取材のため傍聴していました。熱気に満ちた法廷、そのような中で尋問が行われました。

  島崎さんは、自分の子どもさんも婚外子として出産し育ててきたことの理由を聞かれたとき、「母の人生を肯定したいと思った」「よく頑張ったね、ありがとう」と母に伝えたかったと証言されました。私は『家制度の中で生まれ育ち「嫁として」「妻として」のみ生きてこざるを得なかった母の人生を見ながら、嫁役割妻役割を強いる結婚はしないと思ったこと。父が亡くなって4年、足腰が弱くなり外へも出られないような状況にもかかわらず、「自分の人生の中で今が一番幸せよ」という母。このような母と父のような関係ではない平等で親密な関係を作りたいと思い婚姻届を出さなかった』と証言しました。
  島崎さんがお母さんについて語るころから、傍聴席から法廷から涙を拭く姿が見え始め、ぐすぐすという音が聞こえてきました。婚外子として自らの差別の体験を語り、元戸籍実務担当者として続柄差別記載の必要性は無いと言い切りました。素晴らしい証言でした!

  この尋問を傍聴しに多くの方が来てくださり、また遠く熊本や福岡からもかけつけてくださいました。抽選に洩れた方も1時間30分も廊下で待ち続け、尋問が少しでも聞き取れるのではないかと何人もの方が法廷のドアに耳をつけ続けていた(首が堅くなってまわらなくなったとのこと)そうです。
  尋問終了後に弁護士会館で開かれた報告交流会は、いつもより大きめの部屋を借りたのですが、それでも椅子が足りず、隣の会議室から借りてきたほどです。みながみな高揚した雰囲気の中で、笑いが起こりとても楽しい報告交流会になりました。
  証言してくださった島崎さん、そして傍聴に駆けつけてくださった皆さん、ありがとうございました。