希望がもてる婚外子への相続差別撤廃

 

福喜多 昇

  10月15日、交流会のメンバ−で法務大臣の千葉景子さんに会ってきました。これまで法務省交渉の仲介をしてもらった福島さ んの事務所(その福島さんも新政権の大臣)を通じてお願いしてみたものの、政権が発足したばかりで猛烈に忙しい時に会えるのだろうかと半信半疑でした。大 臣の時間が取れたと連絡があったのは前日のことでしたが、期待を込めて7人が集まりました。

 「次の通常国会で民法改正を行う」という法務大臣の発言が報道された時は、法制審議会が民法改正案を答申してから十数年待た されてようやく法改正が実現かと思いました。しかし、すぐに鳩山首相の慎重論、続いて亀井大臣の反対論が報道され、政権が変わっても一筋縄ではいきそうも ない現状を知らされました。大臣に会えたのは、亀井発言の直後です。

 閣内でも一致できていないという状況を反映してか、私たちの要望に対して、千葉さんの発言は注意深く慎重で、決して歯切れの よいものではありませんでした。しかし、私たちの要望に対してはほとんど「そのとおりだと思う」と同意した上で、相続差別撤廃については「決して現状を続 けて良いとは考えていない」という趣旨の明確な意思表明がありました。出生届に嫡出子、嫡出でない子の差別記載をしないと受理されない問題や、戸籍の続柄 記載方法が変更になったにもかかわらず職権で訂正されていないため以前に作成されたものはそのままになっている問題などについては、「なぜできないのか担 当者に聞いてみる」という返事があり、大臣自身がこの問題に関心のあることがうかがえました。

 私が、「十年以上も前に法改正が答申されながらまだ放置されているというのは異常事態で、当時はまだ目は良かったのですが、 今は老眼鏡が手離せない歳になりました。」と言うと、千葉さんからは「いやあ本当にそのとおりですよ。私もあの時はこれで大きく変わると期待したもので す。」と返事があり、終始和やかな雰囲気でした。大臣から「私も(民法改正を)求めてきた方なので、ここにいると(大臣でいると)まるで自分で自分を追及 しているような気になる」という話などもあり、20分という予定をすぎて30分ほどの話し合いになりました。簡単にはいかない法改正ですが、希望は持てる と思いました。