長野市郊外の南東部、長野電鉄河東線信濃川田駅前のメイン通りに面する敷地である。以前は商店街が建ち並びこの街の中心地であったが、今はその面影薄く一般の住宅地化している。今回の敷地は既存宅地を2区画に開発分譲された1区画、100坪という比較的ゆったりとした大きさではあるが、東西に細長いいわゆる「うなぎの寝床」敷地である。 「信州木造り工房」の第11作品目。お客様の要望は、敷地形状を生かした間取りと薪ストーブで暖が取れる広いワンルーム空間ということであった。今回その解決案として家族構成やライフスタイルから限りなく平屋に近いプランを「大屋根の家」として提案している。敷地奥の西側から緩やかな屋根が東側に向かって昇るように架けられ、高さの変化を楽しませてくれる。2階には唯一、子供部屋2室が東側に設けられている。2階北側のバルコニーからは飯縄山が望め、南側のウッドバルコニーはファサードに木の表情を醸し出している。1階の中央部分、玄関から繋がる土間に薪ストーブが置かれ、家全体の主暖房として充分効果が得られる。 外観は見る角度によって表情の変化が感じ取れる。玄関周りは白の「そとん壁」とシルバーの「ガルスパン」により軽やかにそしてシャープに、南側は木の持つ質感が「和」を感じさせてくれる。床面積34坪という数字からは創造できない、豊かで変化に富む空間がここには存在する。