長野市郊外の南西部、10区画程の分譲地。敷地は袋小路の一番奥ということもあり10年程手付かずの場所であったが、実際には採光も充分確保でき3台の駐車も可能であることからも、土地の条件はそこに住む家族のライフスタイルとデザインの模索によって大きく変化する。 信州木造り工房」の第三作品目となるこの住宅、コンセプトの一つハーフビルドでは、内部の塗装をお客様自らが行い将来的には間仕切壁や左官もDIYで可能。「未完成の住宅」だからこそ時の移り変わりや家族の成長と共に手を加えることによって対応できるように計画している。 空間的には敷地条件(北側斜線)をクリアする事と、どこにいても家族の気配が感じられる事を考慮し、スキップフロアという段差のあるフロア設定をしている。このことによって風(熱)の流れが自然と起こり、光と影が生じ空間により一層深みが感じられる。またシックハウス対策として、お米から生まれた100%自然塗料の「キヌカ」、「土壁・木」をイメージした天然調湿素材の「モイス」、国産杉三層クロスパネルの「Jパネル」という三つの新素材を試みている。 パン教室が開かれるLDKは22畳の広さに加え、3.5mの天井高、更に南側全面に広がる幅11m×奥行1.8mのウッドデッキによって開放感が生まれ、薪ストーブの炎と木とパンの香りがそこにいる人々を優しく包み込んでくれる。