長野市から東へ20kmほど離れた、果樹園に囲まれ、自然豊かな昔からの集落が並ぶ山間地。敷地は北側に山を背負って道路より一段上がったロケーションになる。明治時代に建てられた葛屋根の民家の老朽化に伴う建替え計画。 きっかけは、以前に当社で建てた住宅(国産材で造られた家)を見て、一目惚れ。その住宅も木材は基本的に施主の支給品。木材を山買いし、後はこの材料を活かした設計と施工してもらえる工務店(棟梁)を探す。そんな一昔前に戻ったかのような家づくり。 設計に基づく材料選び、といった通常のプロセスとは全く逆の、材料を活かす設計(間取り・仕様)が求められた。材料は普段手に入らないような高価な貴重なものも確かにあるが、建築はバランスが大切である。材料を無駄にせず、この木の持っている味わいを活かす使い方を試行錯誤した。 こだわりは木材だけでなく自然素材にもある。小舞をかき、土壁を塗り、珪藻土で仕上る。 塗装は可能な限りしない。この建物には徹底した思想・哲学がある。