長野市街地に程近い既存の住宅地。敷地は駐車場としてここ10年程利用されていた土地である。北東に道路があり角地で、約75坪とかなりゆったりとした条件的には恵まれた敷地である。 「信州木造り工房」の第五作品目。お客様の要望は、とにかく「片付けしやすい家」。この要望は、おそらく日々の家事をされる方ならどなたも願うこと。収納は大きな納戸1ヶ所より、適所に適量に収納場所を確保することがポイント。まずは持ち家具をリストUPし、十分なヒアリングを行うことから始め、重要なことはフレキシビリティーな収納とすること。ライフスタイルや持ち物は変わっていくということをちゃんと把握することが必要です。結果として収納しやすい家=住みやすい家となります。 この家はキッチンが1階、ユティリティーが2階となっています。通常では動線が長くなりよくないとされる間取りですが、それは一人の人が同じ時間に作業することが前提であって、違った人が違った時間に作業するのには、実は便利ということもあるのです。その家のライフスタイルで既成概念も時として意味を成さないこともあるのです。 空間としては1階の広いウッドデッキと2階のウッドバルコニーが室内の吹抜けを介して、内外の空間をつなげています。このことによって空間が建物内部だけでなく外部へと無限に広がり、上下の距離も近づけています。また、屋根形状を片流れにすることによって南側の軒の高さを抑え(夏の遮熱効果)、北側にロフト(収納)空間が生まれています。このことからも外観と内観(室内空間)は表裏一体のものなのです。