製造業が盛んな町、中小の工場が建ち並ぶ坂城町の山間部、既存集落に今回の建物は計画されている。以前より社会福祉法人事業の一環で、知的障害者の社会自立支援としてこの地で農作業を通じ活動をされている「風ととくべえ」さんの事務所として計画された。 「信州木造り工房」の12作品目。お客様の要望は、昼間の農作業の休憩場及び雨天時の屋内活動(音楽演奏やものづくり)の場所を、木をふんだんに感じられるそんな空間として提案して欲しいとの事。予算とのバランスを図りながら、皆さんが建物造りに参加できる「ハーフビルド」をこの建物は全面的に表現し、未完成の状態をあえて可能な限り提案したいと考えた。間仕切扉も内壁もなし、あるのは木造打ち放しのワンルーム空間である。 この建物は、人(生活者)という存在が時間という流れの中で建物をどのように使いこなし、変えていくことができるかを実践してくれる、そんな場(空間)の提案でもある。