長野市郊外の南東部、菅平から善光寺平へと広がる扇状地に位置する既存集落で非常に静かな場所である。敷地から北に望める飯縄山、黒姫山、妙高山を背景にした善光寺平は絶景である。 今回の計画は、この敷地に7年ほど前に建てられた住宅の増築で、二世帯住宅への対応を求められた。玄関を別に構え、水廻りも独立させることが求められ、敷地条件からも総合的に判断し、お神楽(平屋建ての上に二階を増築する工法)とすることで解決を試みた。幸いにも現行の建築基準法に既存住宅は適合していることにより、構造的にも一体化でき新築同様の耐震性能を満たす結果が得られた。 外観は基本的に既存の住宅のイメージを継承し、西側に設けられた若夫婦の玄関はアクセントとしてレッドシダーの板壁とした。独立した階段を上がると二階が若夫婦の住まいとなる。 メインのLDKの天井は羽目板張りのドームとすることで空間に変化を与えている。オリジナルデザインのシステムキッチン、下駄箱、収納に使われた無垢材も空間のアクセントとなっている。今回使われた材種は、クワ、コブシ、ヤマザクラ、アズキナシ、アサダ、カエデ、スギ、カラマツ。 年月と共に木の色味が変わり、次に尋ねた時にはまた違った表情を見せてくれる。そんな楽しみがこの家にはある。