始めてのB&B


VELMOUNTEまでは谷間の平原で牧場や農場が点在押している。その右手にはカリブー山脈の氷河の山が見えるはずだが生憎の天気で見えない。ベルモンテの町に入ると直ぐにガソリンスタンドがある,此所で電話をして今夜世話になる広江さんの家に電話をする。ガソリンスタンから左に入って行くと両側にMOTELや民家が点在しショップも1軒か2軒あった。食料品の店となにかがあったが忘れた。
しばらく行くと道路が突き当たりになり右に曲がって再び山の方角にはいる。さんざん探して山の中の道を進とそこに山小屋の様な小さな家がぽつりと建っていた。 

B&BB&B-1

家の回りには西部劇の当時に使われた馬車の車輪が飾られ玄関の辺りには鉢植えの花が咲いていた。どうしてこんなところに家があるのか不思議になるくらいだ。家の向うには広大な牧場が開けていて馬が餌を食べているのが遥かかなたに見える。また近くの牧柵の辺りには羊がのんびりと餌を食べている.家の回りは芝草が生えていて車が通ったような跡も見えないくらいだ.しかし此所まで車が来ていて生活をしているのに驚いてしまう.加藤氏が家に訪ねていくとこの家がそうだという.中から品の良い初老の婦人が出てきてドンちゃんと話をしていたが直ぐににこにこしながら挨拶をしてくれた.ワンピースに靴を履いている姿はさすがにイギリスの貴婦人の感じさえする.金縁のメガネも似合っている.私たちは車を家の北側に入れる。そこから私の部屋に入るスロープがあり車椅子で入ることが出来た.

部屋の中は,板張りで2つのベットが置かれていて,壁にはイエスの写真が飾られていた.キリスト教の信者のようだ.ベットは私には丁度よい高さであった.この部屋はイギリスから体の不自由な娘さんを養子に居迎え世話をしているのだそうだ。その娘が留守なので空いている部屋らしい。私たちが泊めてもらうことになったのだ.

この様な宿泊を[B&B](Bed Breakfast)と言うそうで、さしずめ日本の民宿のようなものだ。朝食とベットを提供して宿泊代を貰うシステムらしい。これで一泊が一人当たり45ドルである。他にサービス料もとらないしまことに親切なものである。

B&Bのドリスさん


住所氏名は

Mr.JimDoris  Mckirdy

  1. Mckirdy Road

BOX 158Valemoun

B.C.CANADA V0E2Z0

この家は開拓時代からの家で主人は材木関係の仕事をいまもしているそうだ。ドリスの娘の旦那が日本人で広江清二さんという。彼の紹介でここに来たのだが彼らは此所から上に登ったところに3人の子供と奥さんと生活をしているそうだ。すべてが自給自足で発電から食料までまかなっているそうだ。

セイジ 広江

Mr.SEIJI HIROE Canadian Rocky Alpine Holidays) P、O、Box 841 Valemount、B、C、V0E2Z0 CANADA
Tel
:604-566-4556 fax:604-566-4299と書かれていた。

1978年8月13日からB&Bを始めた.日本山岳会の今井雄二夫妻今井喜美子さんを良く知っていて彼女たちを山に案内しているそうだ.彼女が書いた同信社出版の「石と氷河(1949年)」「心に山ありて(45年)」などを見せてくれた.夕食の後に家族がこの家に皆集まってきて楽しいひとときを過ごす.

かぼちゃ写真を見たり,大きなカボチャを見せてもらう.直径が50センチもある大きなものまであったがもっと大きなものがつくれると言っていた.










朝の牧場とカヌー山
次の朝は早く目が覚めてしまい外の気色を居間から眺めるが,朝のもやに包まれて白くなっている牧場にも柔らかな光が当り始め,馬や羊が動き出している。

やがてテーブルにパン,サラダなどの朝食が用意される頃には太陽がこの部屋にも射し込んできて,乳白色のもやに包まれた山がわずかにその峰を覗かせているカヌー山やがて太陽の光を受けて斜めに射し込む太陽の光に照らされながら霧の中から姿を表した.何と美しい姿だろう。霧の中に馬たちも動き始める.何と素晴らしい気色だろう。ミレーなどの絵画を見ているような感じの気色が目の前に広がっている.感激である。



ドリスさん朝食の用意B&Bの朝食
霜が降りた芝に当たる朝の太陽はこんなにも美しいとは思わなかった.初冬に近いこの辺りの朝の姿が気に入った.
射し込む朝日を受けながら炊事場ではドリスさんがコーヒーを入れている.映画の世界を見ているような錯覚を覚える.現代と西部劇の時代が交錯して居るような感じだ.牧童達が今にも馬に鞭を打って現れそうな気がする。今朝の食事は次のようなメニューであった.手ずくりパン,ケーキ,オムレツにコーヒー,手作りジャム,はちみつ,桃の煮たもの,これは珍しかった。野菜,ポテト,ニンジン,ササゲ豆,これだけ多くの野菜や果物などの他すべてが手作りのものばかりであった。現代の日本ではスーパーなどで買ってきたものばかりだが,此所では自給自足の生活と手作りの食事が当たり前であった。

B&Bとモーターホーム見渡す限り家も見えない広々とした牧場と黄色くなり始めた山の木々,その自然の中で私は食事を楽しむことが出来た.これもカナダに来たお蔭である。また此所まで連れてきてくれた家族や案内役を買って出てくれた加藤夫妻に感謝しなければならない。有り難いことである。

心のこもった朝食を清ませて外に出てみる.庭の草は朝露にぬれている。家の周りには川が静かに湧き水を集めて流れている。その川底には馬が通った痕がはっきりとのこっている。川の向うには霜に濡れた牧柵が牧場を示しているようだ。



朝のB&B全景車で宿泊した加藤さん達も朝食を済ませて出てきた。また広江さんが子供たちを連れて来て話をしている。子供の学校に連れていく時間までのわずかな間ではあったが話をしていた。毎日子供を学校まで送っていくのだそうだ。此所から学校までは相当遠い所にあるとの事だ。

元気な子供達である。朝の陽射しに包まれてドリスさんと庭に咲く草花の話をして時間を過ごし、記念写真を撮影する。あわただしく再びキャラバンをはじめた。





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