クランクシャフト一考のつづき・・・




 コレは・・・ライブの先代モデルのスーパーDioZX、AF28ZXのクランクです。
今回、竜王さんのサイトで御世話になっておりますNAOさんから不要になったクランクを頂き
まして、これを検証してみようと思います。




 このAF28ZXのクランク、重量は1070gと97〜のライブクランクよりさらに重量級。
ウェブ片側の肉厚は13.1mm、クランク全体の肉厚は34mmと厚みはライブと一緒
です。この10gの差はドコで差がついているかというと・・・






 ココ。上がAF28ZXクランク、下がライブ(97〜)のクランクです。肉厚が全然違う(^^;)。
コンロッド大端部面の肉抜きがライブに比べ最小限に抑えられています(=縦Dioの方が
クランク自体の剛性が高いということです)。また上の写真でノギスの当てているコンロッド
側の内寸はAF28ZXで22.3mm、ライブですと25.2mmと約3mmも違います。これも
クランク自体の剛性がライブのクランクより高いですし、一時圧縮も稼げます。この結果から
考えると・・・間違いなくAF28ZXのクランクの方がライブより素性がいいんです。

 結果としてライブのノーマルクランクって縦Dioのクランクより弱体化(笑)させていると。
ライブのクランク=ボアアップ抑制策&低騒音化クランク(一時圧縮が縦Dioより低い&
ボアアップしてもクランクの剛性が元々弱いのでクランクが先に根を上げてエンジンが
壊れてしまう)としてよく話しに上がりますが実際に見比べてみると妙に納得して
しまいます(爆)。

 ライブのエンジンが弱いというのは既にもう定番ですが(泣)、クランクベアリングの欠点+
クランクそのもの強度不足という複合原因によるものかな・・・と思います。あ、駆動系の
構造も良くない(プーリー側の末端にに重量物が集中していてクランクシャフト左右の重量
バランスに欠ける)というのもありますが・・・この設計は縦Dioも一緒ですので。



 そこで、最近SS1/32などの競技をなさっているかたはライブのクランクケースに縦Dio系の
クランクに流用してチューンしている方がいらっしゃいます。ストロークUPによる排気料UPも
魅力ですが縦Dioならではの高剛性&一時圧縮比UPも魅力の一つですね。





 97〜のライブのクランクケースでしたらAF28ZXのクランク、腰下に入れるだけでしたら
完全無加工で装着できます。上は実際にライブのクランクケースにAF28ZXのクランクを
装着した画像。ノーマルストローク(縦Dioのノーマルストロークは41.4mm)でしたら
ケースに接触することなく問題なくコンロッドが動きます。

 現状で「ライブ用のロングストローククランク」がパーツとしては存在しませんが、ライブの
ストロークアップの手段に縦Dio用のクランクの流用がよく使われます(もちろんストローク
アップの度合いによってはクランクケースの加工が必要になりますし、ストロークアップした分
シリンダーのセッティングが必要になります)。縦Dio系のクランクシャフトは台湾メイドの
パーツがたくさんバリエーションとして入手可能ですのでライブのエンジンチューニングの
可能性は一気に上げる事ができます。

 今、各メーカーがライブのボアアップKITで一番多いピストン径は47mmでの68ccですから
この組み合わせですと・・・47x41.4で71.7cc。現在日本で手に入るAF28ZX用のロング
ストローククランクは約45mmのクランクが入手可能ですから・・・48x45で78cc。デイトナの
ピストン径48mmの新ボアアップKITとこのロングストローククランクをあわせると81.3cc。
計算上ではこの用に排気量のUPが可能になります。

最近ではSS1/32の方は台湾メイドの50mmクランク(排気量90cc超)をライブに入れている
方がいたりと・・・ヘビーチューンの定番となりつつあるのかな・・・というのが現状でしょうか。。



注:記載を忘れましたが単にライブのクランクケースに縦Dioのクランクを入れても実際はフライホイルのピックアップ位置が変わる事になるのでのでそのまま入れてもエンジンは始動しません(笑)。

 じゃあどうすればいいかは・・・ご自分で考えるなりお店に相談してくださいね。
スパークプラグへ点火させるエンジンの仕組みが理解できていて縦Dioとライブの
クランクを両方見比べれば分かってくる思いますが、ここらへんはSS1/32に
参戦している方のシークレットな部分になりますので・・・。




今回の縦Dioクランク流用の話はとりあえず可能性と現状ということで記載しました。今回の後半の記載はもう完全に上級チューニングの部類ですね(^^;)・・・。