3、クランクケース(腰下)組立
腰下の組立にはまず何が何でも絶対必要な専用工具が
あります。クランクインストーラーというクランクシャフトをクランクケースに
セットする・・・というかクランクをケースに引っ張り込む工具です。これがない
と絶対に正確な組立ができません。
最近ではプライベーターで腰下を組む方が増えてきたのか、ホンダ純正工具
以外でも買えるようになってきましたのでチャレンジしたい方はこちらを狙っても
いいと思います。
クランクシャフトは新品に交換するのもヨシ(最近は純正以外にも安価で新品
クランクが入手できるようになりました)、クランクを再利用する方はせっかく
組み上げるのですから最低でも芯出しはやるべきだと思います。
精度は1/100mmの精度で十分(By某内燃機関屋さん)だそうです。
注1:今回当方はマロッシのクランクを使用します。このクランク、本来は94〜96用
のクランクでクランクケースは97〜のクランクケースを使用します。ですのでその
ままでは組めませんが組めるようにしました(大したことをしていませんが)。
ここらへんのことは気にしないでこれからの作業を参照していただければと思います。
注2:ライブの場合はスーパーDioのように大端ベアリングやクランクピンなどの
ショートパーツだけの部品は入手不可でクランクは完成品でしか供給されて
いません。ですので内燃機関屋さんにお願いすることは分解と芯出ししか
できないのが実情です。
前準備。クランクベアリングは・・・一回脱脂&グリスアップ後に冷凍庫
で一晩寝かしておきます(笑)。
クランクベアリングのクランクケースへのセット方法なんですが、ライブ
のサービスマニュアルですとベアリングをクランクケースに叩いて圧入
する方法になっています。が・・・そんな荒っぽいやり方をしなくても
クランクベアリングは冷やしておき、クランクケースは暖めておいて
やると、金属の熱膨張でクランクケースは膨張してベアリングは縮
まる形になるのでじゃっかんですがクリアランスが出来ます。
ですので圧入なんてあらっぽいことをしなくても手でスコンと入る
という形になります。
クランクケースを暖める・・・の画像。クランクケースにはエンジン
マウントのゴムブッシュが圧入されています。ですのでガスや
電気コンロなどでバキバキに暖めるとゴムブッシュへのダメージが
心配なので石油ファンヒーターの温風で私は暖めています。
たかがファンヒーターと思う無かれ(笑)、石油ファンヒーターの
噴出口直後の温度は180℃前後はあるんです。時間は掛かりますが
ファンヒーター全開で30分〜1時間も暖めると触れないくらいの温度
になりますよ。それにクランクケース全体が暖まるのでケースそのもの
が歪む可能性もないですし(クランクケースを暖めるときは全体を
暖めないとコンマ単位で歪むそうです)。今のところこのやり方で熱膨張
が足りなくてスパッとクランクベアリングが入らなかったことはないです。
きっちりベアリングが冷えている&ケースが暖まっているとこんな感じて
何も叩かなくてもスコッと入ります。入った瞬間に密着しますのでくれぐれも
ベアリングを斜めに入れないように慎重かつ素早く行います。