私的エンジン腰上のOH



 スペアエンジン用として入手したライブDio-Sのエンジンですが、ZXと違い、シリンダがロ−ポ−ト仕様(詳しくはこのペ−ジにて)になっています。このまま組んではZXの名に恥じる(笑)走りになってしまうと思い、ZXのシリンダを組み、各種ガスケットやピストンリングを純正でそろえるのも芸がないので、キタコのハイコンプパッキンSETを入手して組みました。

 初期型ZXのシリンダですが・・・先日電気工事に伺った鉄クズ処理業者で、なんと廃棄処分ということで依頼を受け解体待ちの初期型ZXを頂いてきちゃいました。盗難されて発見されたものの、あまりにボロボロで廃棄という形とのことです。カウルはなし、直結跡あり、部品もある程度取られちゃっていますがEG周りは荒らされていませんでした。できればこれをもう一回走らせてやりたいところですが・・・書なしなので生かすことができないのが残念。このZXも可哀想ですね。せめて使える部品はもう一度使用できれば報われるかな。

 と、いうことで私的腰上のOH要領です。いろいろなやり方があると思いますが、
私的OHの要領ですまずそろえておくもの。

ベ−スガスケット
ヘッドガスケット
ピストンリング(ライブDioの場合上下&エキスパンダリングのセットで出ます)
ピストンクリップ(一個で事足りますが念のため2つ用意しておけばいいかも)
小端ベアリング(交換しなくてもいい気がしますがせっかくバラすのだから)

です。距離走っているのでしたら、

新品ピストン(ピストンピンとの接合磨耗して振れてくるかな?)
ピストンピン(同上)
ヘッドボルト(熱で伸びる可能性ありのため。車の世界ではヘッドボルトは原則再使用不可です)

も揃えた方がいいとは思いますが・・・。


 なおご存知のとおり今回は余りにも新品状態のエンジンであり、キタコのパッキンセットを使用するので上記の純正部品は入手しませんでした。




 今回も家の中作業です(^^;)。冬になると家の中作業ばっかりですが・・・。
作業前。奥がこれから取り掛かるライブDio−Sエンジンです。手前左からライ
ブDioZXのシリンダ(今回は95年一期型のシリンダ使用します)、キタコのハイ
コンプパッキンセットのパッケ−ジ、それと中身です。
 
 パッキンセットの内容ですが、ベ−スガスケット、ヘッドガスケット、ピストンピン
とピストンクリップ2個です。ベ−スガスケットとピストンクリップは純正と同様です
が、ヘッドガスケットがアルミホイル並に薄いです(アルミホイルみたいにペナペナ
しなく腰はありますが)。純正ヘッドガスケットの1/2ぐらいかな?それとピストン
ピンは内側の肉厚を抜いておりノ−マルの7g減の13グラムです。

 肉薄ヘッドガスケットによるハイコンプ化&軽量ピストンピンによるピストン上下運
動時の運動慣性モ−メントの軽減を狙っている・・・というところでしょうね。回るEG
にはなるでしょう。が、冷静に考えればピストンピンの体積が減少した分一時圧縮
比が若干落ちますね(^^;)。




 バラした状態。走行90kmしか走っていませんので、今回はピストンリング&小端
ベアリングはほぼ新品の状態ですので交換はしなかったです。ピストンの表面、ヘッド
の燃焼室部のカ−ボンも面倒だったので落としていません。というか・・・堆積してい
ません。左がキタコの薄々ヘッドガスケット、右が純正です。

 本来は小端ベアリング、ピストンリング(上、下、エキスパンダリングの一式で部品
が取れます)も用意して交換、ピストンは上部を、ヘッドは燃焼室をペ−パ−でカ−ボン
を落とす必要ありです。シリンダの排気ポ−ト(特にシリンダ側の上部分)もカ−ボンが蓄
積していくところなのでコレを機にマイナスドライバや金棒ヤスリで落としましょう。なお他
のEGのシリンダは分かりませんが、ライブDioって排気ポ−トがア−ル状に曲線を描い
ておりしっかり全域を落とすのには苦労しました。

 落としたあとはガッツある人はホ−ムセンタ−とかで1万円ぐらいで売っているリュ−タ
−を買ってきて排気ポ−トの表面を滑らかにならしてやるとカ−ボンの堆積が少なくなり
、排気もスム−ズに流れると思います。が、今回はそこまでやるEGではないので(笑)・・・




 写真が飛びましたが、各所カ−ボンを落としてクリ−ニング後、小端ベアリングとピストン
をセットしてピストンピン挿入、ピストンリングを装着後、新品ガスケットをセットしてヘッドボ
ルト4本で締め付けです。忘れましたがピストン回りの組み付け時、こ各部品にはオイ
ル(2stオイル)を各パ−ツにたっぷりと塗布しておくこと。

 始めにヘッドボルトをある程度普通に締めていきます。軽く止まったらここでいったんやめ。
そうしたら一回目のセンタ−出し。私、念の為に2回センタ−出しをやっています。車体に
載っている状態だったらキックレバ−をキックしてセンタ−出していますが今回は直接ファン
を手で回して(これだとよく回転させないキックしたときと違い勢いがないのでしっかりやら
ないとダメだと私は考えています)センタ−出しをやりました。キックだったら1回目、2回目
も10蹴りほど。手回しは30回転ぐらい強めに手で回してやっときました。




 トルクレンチで締め付けトルク管理をしっかりやりましょう。


 そうしたらまずトルクレンチの目盛りを0.5〜0.8kg/mにセットしてまず一回目の
締め付け。一応対角上に締め付けていきます。そうしたらここで2回目のセンタ−出しをしま
す。最後にトルクレンチの目盛りを1.2〜1.5kg/mにセット、対角に基準トルク通りに締め
付け完了です。トルクレンチ、上記の写真の様に両手でしっかり持って締めないと簡単に締め
付けトルクのズレが起きますのでご注意を。特に今回は低トルク値での締め付けですので。


 この写真の奥に・・・一期型のクランクブロックあるの分かりますか?シリンダはここから
摘出したものです。




 この後ファンシュラウドを組み付けこれで完了です。写真左下はおそらくもう使うことは
ない素ライブDio−Sのシリンダです。90kmしか走っていないので新品同様ですが(念の
為に保存はしておきますがね)。



20020114