〜夢を描き夢を語り、明日を見つめて今日を生きたい―
            一人ひとり個性的に・豊かな生活であるために〜
クリーニング工房CoCo施設長(当時)
(現)法人常務理事  綿貫 好子


 戸倉町にあるCoCoをご存知ですか。戸倉上山田温泉の旅館の利用者の浴衣や枕カバー、タオルを衛生的にクリーニングしている福祉工場です。今は、20名の社員が元気に働いています。

 なぜ福祉工場を建設したかと言うと、前任の長野リネンサプライには長野養護学校の人や信大付属養護の方がメインで働いていました。しかし、一生懸命働きたいと言う人がいろいろな方面から大勢会社へ来ました。その時会社へ働きに行くには少し修行したい、と言う方が大勢いて働く場を求めていることがわかりました。この人たちの目をもっと輝かせたいと強く考え福祉法人をつくり建設したわけです。

 今現在の通勤の内訳は、8市町村から通ってきています。北は長野市善光寺裏から通勤している人、東は東部町、その人は朝6:40に家を出て通勤しています。全員知的障害がある方です。上田養護の先輩は、8名います。みな個性的に元気にお仕事に励んでいます。

 私の思いは、障害のある社員ひとりひとりがより豊かに社会自立してほしい、夢を持って仕事に励んで欲しい、ということで、その実現のために今まで実践してきました。今の会社は、平成10年8月1日にオープンしました。もう3年経ちます。

 学校を卒業し社会人となったら、どんなことをしたらいいでしょうか。自立と言うことはどういうことでしょうか。自立とは自分で自分のことができること。朝起きて食事を作って、仕事に行って・・・そういうことも大切な自立です。でもそれが思うようにできない人は、周りの人と協力しあってほしい。個性はひとりひとり違います。私にできることをすればいい。例えば福祉工場でも、タオルをたたむことしかできない人もいます。でもたたむことなら誰にも負けない、とたたむことに自信を持って誰よりも早くきれいにと頑張る人もいます。数を数えられないので数えられる人に頼んでいます。伝票が書けない人は、書けるひとに頼んでいます。苦手なことは協力しあってやればいいのです。数えられないことは障害と認めて、自分ができることを頑張ればいいのです。その人にできる方法を見つけてあげることが大切だと思っています。

 例えば、力持ちさんがいます。毎日洗い場で重い荷物を持ち上げてくれます。自分のできることを自信を持ってアピールしてほしいですね。

 それから社会人としてのおもいやりも大切です。福祉工場でも悩みがあります。オープン当時は欠席率が高く、悩みました。毎日顔色を見たり体調を心配していました。お家の方も「休ませてください」と甘さがあったように思います。しかし3年目にはいって改善されてきました。働いて給料をもらうことが大変なことで、一人が休むことで皆のチームワークが崩れてしまうことが分かってきたからだと思いました。その人が必要だからここに来ている。余計な人はいないのです。あてにならないことが一番困ること、みんなを心配させます。おもいやりの心とはそういうものなのです。私一人が休んだら、周りの人はどう思うか、残業をしなければならなくなります。思いやりとは、周りの人のことも考えられること。今工場では思いやりがでてきました。責任感も出てきました。「私がいなくちや」と自信を持って仕事をしています。

 今までを振り返ってみて気づいたことは、一番身近な人が「この子だからいいや」という考えを変えてほしいということです。その子の目線で考えて欲しい。例えば小遣い。給料の管理の仕方でいただいた給料をどう使おうか、ためようかと一緒に考えて欲しい。その中で働く意欲を育てて欲しいですね。私たちはたとえ障害があっても一生懸命働いています。プロとして誇りを持って仕事をしています。福祉工場ということでお客さんに迷惑はかけません。福祉工場ということで差別しないで下さい。いつでも見学にお越しください。

 CoCoのような働く場が増えたらいいですね。CoCoの人できるじゃんと社会の人に認めてもらいたいのです。 働くことはつらいこと、悲しいこと、悔し涙を流すこともあります。働いてよかったと思うことが必ずあります。みなさんの夢が実現できることを願っています。
 親亡き後に、親亡きことを考えるのではなく、今親亡き後のことを考えていきましょう。マイドリーム・どんどん言って行きましょう。




 


中学部 保護者

 講演はとっても良いお話でした。でも、親から見るとちょっと厳しいかなと思いました。確かにプロ意識を持って本人に自信を持たせて仕事をするということは、障害者だけでなく世間一般に言えることだと思います。障害を持っていると言うことを甘えとしてはいけませんが、もちろんその子その子が最大限の力を発揮できるものであればいいと思います。そんな中で、職場は周囲の理解をしていただきながら働くための楽しみを持って生き生きと楽しく仕事できる場、生活できる場であってほしいと思います。


高等部 保護者

 終始にこやかに、時にはユーモアを交えて優しく生徒にも納得できるような話し方をされていました。親としても改めて初心の原点に戻って子どもと向き合うことの大切さをお話しいただき大変感動しました。 障害も個性として、またその子の持つ力として最大限生かせること、それが進路を考えるときにも生かせることがお聞きでき、大きな力をもらった気がします。
 クリーニングCoCoへまだ見学に行ったことがありませんので、是非一度見学させていただきたいと思いました。


高等部 保護者

 心温まるようなお話を聞くことができ本当に良かったです。子ども達も真剣に耳を傾けて聴くことができました。3年生は来年度に向けしっかりと考えてほしいと思いました。
 普通の会社にも綿貫さんみたいな方がいらっしやれば素晴らしい会社になるだろうなと考えながら楽しくお話を聞くことができました。 子ども達も希望をもって社会人になっていってくれることを願っています。


高等部 保護者

 あまり堅苦しくなくゆったりと聴くことができました。障害者をよく理解してくれている工場のように思われ、一度見学したいと思いました。本人もこの工場で体験させていただけたらと思いました。
 誰にも得意分野があり、それを生かしていくことが、とっても大切なんだなと思いました。それにつけても、働くことの喜びを味わい、分かっていかせることが、今後の課題だと思いました。


高等部 保護者

 「クリーニング工房CoCo」のような知的障害者福祉工場を実際に見学したことはありませんが、話を聞いただけでも大変参考になりました。入荷から出荷まで、それぞれ得意分野で仕事を分担しているというのは素晴らしいことだと思いました。


高等部 保護者
 ハローワーク、クリーニング工房CoCoの方から貴重なお話をじかにお聞きすることができて良かったと思います。


上田養護学校 「社会自立をめざして」 第22集 より
長野県雇用開発協会
上田公共職業安定所
長野県上田養護学校

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