クランクケ−スの分解(通称腰下割り)にチャレンジ



 本来、この作業はスク−タ−のエンジンのメンテナンスでお世話になることはあまりないでしょうし、この作業はお店に頼んだ方がいいです。
 ですが、ライブのエンジンのAF34Eエンジンはもともと高回転に対するマ−ジンが少ないらしく、改造を施すとなおさら高回転になるのでクランクを支持しているベアリング(これがクランクベアリングです)が壊れやすいのも事実です。どうもプ−リ−側のベアリングの破損がほとんどだと。プ-リ-側はもともとクランクベアリングから末端までが長く、この間にオイルポンプが付いていて、さらにベルトで軸自体が引っ張られている状態だからでしょう。
 ここで、「ベアリングをもっといいモノを・・・」と思う方もいると思いますが、ライブのクランクベアリングはホンダがNTN社に特別に製作依頼した特注品です。サイズも特殊ですし、工法もしっかり精度、耐久性を考えたベアリングですのでこの手は無理です。結局、改造を施して高回転を多用することはベアリングが壊れやすい、と割り切って考えるしかありません。
 ご存知の通り、去年クランクベアリングを壊しましてそのときはホンダのお店にお願いしました(そのときの様子はココを参照にしてください)。が、上記のことからなんにしろ「壊れるモノ」と考えるようになりました。ですがこの作業、一番の問題はクランクケ−スを分割させる「クランクケ−スプ−ラ−」という専用工具です。コレの値段が高い!これで躊躇していました。ですが最近、これを格安で入手することに成功しました。これで腰下割りにチャレンジできます・・・ということでチャレンジしました。誰にでも出来る作業ではありませんが、「こんな感じでやるんだ」と参考になれば幸いです。




 事前準備。エンジンを車体から降ろして駆動系の全部品と、
とにかく腰下単体以外の外せる部品は全て外します。
ギア周りはいいとして、写真の状態になるまで全てバラしましょう。




 そうしましたらクランク右側、ACジェネレ−タ−を外したところに
ケ-ス接合のためのボルトが6本ありますのでこれを外します。ここ
は8mmのディ−プソケットじゃないと外せません。またボルト長が
場所によって長短違うので忘れないようにしましょう。ちなみに私は
上記の写真のようにボルトに番号をつけてマジックで記載しておき
ました。




 これが今回のなんと言っても最重要工具であるクランクケ−スプ−
ラ−です。3本の腕の先に8mm兼用の10mmのボルトがあり、これを
ケ−スにねじ込み固定、中央のセンタ−ボルトでクランク軸を押してケ
−スを引く抜くという形です。
 ちなみにこの工具、ホンダのやつじゃありません。スズキのやつです
が非常に使い勝手がいい、とある方が教えてくれました。




 まずはケ−ス右側を引き抜きます。プ−ラ−の腕部固定用に8mmの
アダプタをケ−スにセットして、本体を装着していきます。




 これが準備完了状態です。あとはセンタ−部の長ボルト先端部の17mm
のナット部をラチェットで回していくとケ−スが引っ張られて分割されていき
ます。




 分割中・・・グリグリ回しているところです。途中で「パカン」って
音がします。クランクベアリングが内部で抜けた音ですね。




 これで右側は分割完了です。クランクベアリングはこちらの場合
ケ−スに残りました。場合によってはクランク軸にくっついた状態で
ベアリングが抜ける場合もあります。残ってくれるほうがラクです。