果樹園経営者宅にて
淡々とした毎日だけれど幸福です
太田初音さんと榮さん夫妻は、篠ノ井で幸福に人生を送り、おとぎ話に出て来るような素敵なりんごを作っている素晴しい人達です。
戸外でりんご箱の上に板をのせてテーブルを作り、太田初音さんは美しく赤い1個が大体1kgの
" ふじ " (こんなりんごはヨーロッパでは見かけられません。)の皮をむき、いくつかに切り分けてくれました。カリカリと歯応えがあり、甘く大きい有名なこのりんごは本当においしい。
古い樹の木陰に座り、榮さんが持って来てくれたのはリンゴジュース、りんごの砂糖づけ、漬け物、おかし、お茶等々のたくさんの品々。日本式のおもてなしです。
長野県篠ノ井は果樹栽培の中心地で、年間223,000トンのりんごを生産しています。りんごの主要産地であると共に、他の果物も生産しています。丘から見下ろした平野にある篠ノ井、太田夫妻はヨーロッパとは全く異なる種類のりんごを1ヘクタール栽培しています。
ヨーロッパではりんごの木は度々取りかえたりして若い木が多いが、日本の栽培農家は長い間木はかえず、古い幹からV字型の枝を残して小枝は取っています。太田榮さんは木を示し「これは35年前に植えたものです。」と言いました。つめは厚く、手の甲は日にやけ、手のひらにはまめが出来固くなった手を見せてくれ、その手はもう自然に良い実をつける花を残し、その他の花を摘んでいきます。
太田さんがりんごの実を出荷している共和農協でのりんご栽培者は400人で、太田さんはそこの組合長を務めていた。現在、若い世代は工場に働きに出、親の跡を継がなくなっています。今は以前のように、あまり台風の影響は受けないが、それでも時々「ひょう」の被害を受けることがあります。普通は年10回の薬剤散布。しかし環境保護のため、年7回の散布に留めています。
太田さん宅では、7〜8種の日本固有のりんごを生産しています。 " ふじ "
は長野の主要生産種です。太田さんの所では "ふじ " が全体の65%を占めている。なぜ彼らは大きなりんごを作るかというと、大きい物は「デラックス」として、とても高く評価されるからです。果物屋の店先には、他の高い果物もたくさん見られます。たとえば、いちごです。全て同サイズ、同色で味も良いつぶが1パッケージに納められています。
太田さんと奥さん、4月から12月まで格別に忙しい時には2人の手伝やアルバイトの応援で、りんご栽培をしています。太田榮さんは年間40トンのりんごを生産しています。その内訳は
" ふじ " 、 " 祝 " 、 " つがる " 、 "
さんさ " 、 " 陽光 " 、 " 世界一 " 、 " 千秋
"、 " 王林 "、忘れてはならないのが”アルプス乙女”、そしてヨーロッパでも知られている "
ゴールデン " や " スターキング”種です。
戸外から戻ると開け放された家の日本間には、新たにお茶、お菓子、果物が用意されていました。親切で謙虚な太田夫妻は「ごめんなさい。日本の習慣はヨーロッパとは異なっているでしょ。生活はのんびりと過ごし、友人が遊びに来てくれます。雨が降れば仕事を休み、冬は東京や九州へ遊びにも行きます。」と照れくさそうに言って、「こんな生活を私はとっても好きで、幸福です。毎日がとても大切な1日なのです。」と付け加えてくれました。
和文翻訳 島田進様
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